今年から『日々是・美術批評』を連載することになった。以前から『C&D』誌に連載中の「戦後と美術」も35回を迎えた。戦後50年を境に始めた批評も10年経った。昨年からは地域応援誌『そう・叢』にも作家論を始めた。社会の動きも変わり、その一端である美術も変化して行く。それらを印刷物とプログに拡大して同時代性を感じていただければ幸いです。 2007年1月26日 鈴木敏春(美術批評)

■   村田千秋さんの仕事

   
『豊穣なるもの−現代美術in豊川』に出品の村田千秋さんの作品。今回の出品者の中では分かりにくい作品のひとつだと云うのだが、一番ストレートなコンセプチュアルアートだった。使われている鉄のサークルは学校と云う場のイメージがある。それは村田さんの長い教員生活にも通じているのであろうか。教室の中では決められた規則や規範に従い学ぶことが強制される。それは指事された項目を拾うように時間軸を経ながら展開される。モノは語りを無視されて外枠のカバーである事が印となって表れる。美術用語辞典にはコンセプチュアル アート【conceptual art】について、「1960年代以降の現代芸術の潮流のひとつ。作品における物質的側面よりも観念性・思想性を重視し,記号・文字・パフォーマンスなどによる表現を目指す芸術。」と書いてある。
※開催中の桜ケ丘ミュージアム1階ロビーに展示。


掲載日 : 2015/01/23

■   『加藤松雄風景画展』

   
名鉄の呼続駅を降りて、東海道の側道を山側に上り切ったところにK.Art Studioがある。大学を定年で退職されてから、精力的な発表活動をされていたが、ここ数年、現代美術から離れて昨年から描きためたF10の油彩画が9点展示されている。全て、自宅周辺の風景。緑で覆われた庭や咲き乱れる草花。晩夏の風景。人は多くの自然のなかで色々な事を思う。またそのことが心に優しさやゆとりを生む。「ふるさとは遠きにありて 思ふもの…」で有名な室生犀星の「抒情小曲集」に「永日」と云う詩がある。「野にあるときもわれひとり ひとり、たましひふかく抱きしめ こごゑにいのり燃えたちぬ けふのはげしき身のふるへ 麦もみどりを震はせおそるるか われはやさしくありぬれど わがこしかたのくらさより さいはひどもの遁がれゆく のがるるものを趁おふなかれ ひたひを割られ 血みどろにをののけど たふとや、われの生けること なみだしんしん涌くごとし」1918(大正7)年9月 ※展覧会は25日日曜日まで。11時〜18時

掲載日 : 2015/01/15

■   「あいちアール・ブリュツト展」

   
8/25『今日のチラシ』
県庁で知事が午前中に記者会見してくれたとのこと。「あいちアール・ブリュツト展」のスタート。10月28日〜11月3日の前座はアンデパンダン(無審査)出品料無料で開催。そのあと来年の3月3日〜3月8日に芸文センターで特別展を行う。この企画は9月から県内の5施設でアート講座を20回に渡り行うもので、愛知県では初めてとなる。以前、小牧アートコミニュティ2009で行った「記憶のアート」をテーマにした。「アートは全ての人々の過去・現在・未来の記憶を想起するかたち中にある。」
展覧会の詳細は事務局まで
あいちアール・ブリュット展事務局
〒485-0801 小牧市大字大山字岩次208−3
障害者支援施設 サンフレンド内
TEL:0568-47-1181 , FAX:0568-47-1182
E-mail:sunfriend@aichi-seikokai.or.jp 担当:澤田・川崎
掲載日 : 2014/09/05

■   原田章生絵画展“ハナサキニ、ハナサキ”

   
9/3『原田章生絵画展“ハナサキニ、ハナサキ”』
「欲望を起させるものは対象〔物〕そのものではなくて名前であり、人に物を売るのは夢でなく意味のしわざなのだ」(モードの体系/ロラン・バルト)とバルトは賜ったが、このインテリアショップgarageの雑貨の中に埋没するか、同化する事で彼の描いた動物たちは意味ありげに浮かび上がってくる。音楽活動もこの場の空間の中で生きているのだろうし、会場でライブペインティグすることも今風なアレンジとして存在する。あながちこのスタイルは方法としてのアートの側面を表しながら、実は商品としての絵画のあり様も批判していると思えるのだけれど(笑)贈与論ではないけどギフトとしての贈りものに込められた毒としての要素も彼の絵の中には表現されている。
イベントページ→ https://www.facebook.com/events/1533845420180161/
場所_garage2F \ gareco【ガレコ】 期間_8/30(土)〜9/28(日)
住所_愛知県豊橋市曙町南松原17 TEL_0532-38-8609
営業時間_10:00~19:00定休日_木曜日
http://www.garage-garden.com/
https://www.facebook.com/garage.gareco
掲載日 : 2014/09/05

■   ジャン・フォートリエ

   
7/23『日々是美術批評/ジャン・フォートリエ』
ジャン・フォートリエ(1898〜1964)の回顧展。1950年代に展開された絵画における抽象表現主義の一動向であった、アンフォルメル旋風と呼ばれるほど熱烈な活動の発端となった作家が、日本初の回顧展とは、なにか不思議な感じがするが(笑) 本物を見る機会もなかったので必見。先日のレセプションでK先生から1959年に南画廊で開催したフォートリエの展覧会図録を見せて頂いたが、そこに書かれた美術評論家・東野芳明さんの批評「戦争という大きい変革期を通じ、フォートリエは文明という紙をしわくちゃにまるめてしまい、もっとも根源的な原初的なものに、事物や人間が存在することの奇妙さに、つまり存在自身が、平べったい一枚の絵ではなく、シワクチャ性のイメージであり、原初的な状態にまで追い詰められた事物や人間の不思議な襞なのである」1943年ゲシュタポに拘束され、その体験が有名な作品『人質』の連作になるのだが、戦争の影が色濃く出た時代から1920年30年代の静物画のレアリズムと厚塗りの絵画は素晴らしい。東野芳明さんの批評は時代を的確に捉えて感動した。集団的自衛権など、まさに戦争をシワクチャに丸めて投げ捨てたい衝動なのだ。豊田市美術館で9月15日まで開催。※写真は図録表紙

掲載日 : 2014/07/23